町家とは
2026/02/09
町家(まちや)と聞くと、どんな風景を思い浮かべるでしょうか。京都の細い通りに並ぶ、奥へ奥へと続く家。格子戸の向こうに、静かな暮らしの気配が感じられる建物。私にとって町家は、日本の住まいの原点のひとつです。
町家は、もともと商いと暮らしが一体となった家です。通りに面した「店の間」、奥へ進むにつれて「居間」「台所」、さらにその先に小さな庭。限られた間口の中で、光や風をどう取り込むか、どう家族の暮らしを守るかを、先人たちは知恵を絞って形にしてきました。
特に印象的なのは、露地や中庭の存在です。大きな窓がなくても、上からの光や風をやさしく取り込み、家の奥まで季節を届けてくれます。閉じているようで、実はとても開かれた住まい方だと感じます。
構造もまた合理的です。木を組み、土や紙といった自然素材を使い、傷めば直しながら長く住み継ぐ。完成した瞬間がゴールではなく、住みながら育てていく家です。それが町家の考え方です。
現代の住宅は、性能も設備も大きく進化しました。けれど、町家が持っていた「人の感覚に寄り添う設計」や「自然と折り合いをつける暮らし方」は、今だからこそ見直す価値があるのではないでしょうか。
...私たちがつくる木の家も、最新の技術を使いながら、どこか町家の考え方に通じていると感じることががあります。光の入り方、風の抜け方、木のぬくもり、派手さはなくても、長く心地よく暮らせる家。...
町家とは、ただの古い建物ではありません。日本人が長い時間をかけて培ってきた、「暮らしの知恵」そのものなのだと思います。...








