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木の「軽さと強さ」を活かす「木組み」の技術。…宮大工から聞いた話…














千年以上も前の建物が今もその姿を保っている。この事実だけでも日本の伝統的な木造建築の素晴らしさがわかると思います。では、どうして、そんなに強い建物を造ることができたのか。理由はいろいろあるのでしょうが、保存修理の仕事を通して得た実感で言わせていただくと、「木組みの技術」があったからだと思います。日本建築の核心にあるのは「木組みの技術」だと言ってもいいでしょう。鉄とコンクリートでは五重塔はできないと言われます。たとえ、無理に造ったとしても、五重塔とは似ても似つかぬ不格好なものになってしまうそうです。木はそれほど強いものなのです。しかも、軽い。木と鉄、木とコンクリートを比較したら、鉄やコンクリートのほうが強いに決まっていると思う人が多いでしょうが、木は使い方によっては、コンクリートや鉄の数倍の強さを発揮します。たとえば、どちらも10キロの重さの鉄の棒と木の棒を並べて、両端から同じ力で引っ張ったとします。先にちぎれるのは鉄です。同時にちぎれるようにするとしたら、もっと軽い木の棒を用意すればいいということになるわけです。また、どちらも同じ重さの木とコンクリートのブロックを用意して、同じ力で押しつぶそうとしたら、これも先につぶれるのはコンクリートのほうです。木は軽くて強い。だから五重塔ができる。しかも千年以上も倒れずに建っている。鉄とコンクリートでは自分の重さに負けてしまいますから、五重塔はできないのです。しかし、ただ木を組み合わせただけでは、建築材料としての木の長所を引き出すことはできません。マッチ棒で家を造るのと変わらないでしょう。ちょっと強い風が吹くか、ちょっと強い地震でもあれば、すぐに倒れてしまう。





「木組み」があるからこそ、木の強さと軽さが生きてくるのです。だから、日本の伝統的な木造建築技術の核心にあるのは「木組み」だと言いたいのです。木をどんなふうに組み合わせれば、木の強さを生かすことができるか。「木組み」にはその知恵と技術が込められています。たとえば、法隆寺の五重塔でも、心柱(しんばしら)は途中で継いであります。いや、法隆寺だけではありません。ほとんどの五重塔、三重塔、で、何本かの柱をつなぎ合わせて1本の心柱にしています。それでも、何百年もびくともしない。木の柱をつなぎ合わせて1本の柱にしたと聞けば、あまり丈夫ではないだろうと思うかもしれませんが、そうでは無いのです。それでも、強い柱ができる。つなぎ合わせたところから折れないのか?そう思うかもしれません。しかし、めったなことでは折れないのです。五重塔の心柱が途中から折れたなどと言う話は聞いたことがありません。 ...それは、折れないような「継ぎ方」をしているからです!...










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