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「紙と木」でできた日本の家


昔は、年の瀬になると、障子を貼り替える光景をよく見ました。古い障子を剥がし、細い桟に刷毛で糊を塗って白い和紙を貼り替えました。その光景を見ると、正月が近づいた期待感に胸が高鳴りました。「紙と木でできた家に住んでいる」と欧米人を驚かせた日本の家は、一体どこへ行ってしまったのか。私たちは再び、世界に誇る「紙と木の家」の文化をこの手に取り戻そうではありませんか。





和紙の優れた性質と比類なき美しさ...「障子」は元来、縁や部屋の間仕切りに立てる建具の総称で、不透光の建具と区別し、現在の障子は、「明かり障子」と呼ばれました。明かり障子は鎌倉時代に発生し、足利義政が建てた京都銀閣寺の東求堂(とうぐどう)の障子が、現存する最古のものと言われています。半透明の和紙を貼った障子は、日光の直射をさえぎり半分ほどの光を透過させ、やわらかく拡散させて、部屋全体を均等に明るくしてくれます。断熱性と調湿性に優れた和紙は、 自然の空調機能をも持っています。細い木の桟と白い和紙の織りなす幾何学的な美しさは空間を引き締め、豊かな情感を醸し出します。





「外光を一旦障子の紙で濾過」した書院を前に、谷崎潤一郎は書きました。「ほのじろい紙の反射が、床の間の濃い闇を追い払うには力が足らず、かえって闇に弾ね返されながら、明暗の区別のつかぬ昏迷の世界を現じつつ」和紙の魅力についても次のように書いた。「我々は西洋紙に対すると、単なる実用品という以外に何の感じも起こらないけれども、唐紙や和紙の肌目をみると、そこに一種の温かみを感じ、心が落ち着くようになる。西洋紙の肌は光線をはね返すような趣があるが、奉書や唐紙の肌は、柔らかい初雪の面のように、ふっくらと光線を中へ吸い取る。そうして手ざわりがしなやかであり、折っても畳んでも音を立てない。それは木の葉に触れているのと同じように物静かで、しっとりとしている」(出典「陰翳礼讃」谷崎潤一郎著中公文庫)









...私たちは「紙と木の家」をさらに進化させて次代に伝承していく使命があり、そのことを誇りに思っています...






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