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社長のひとり言

杉の節


本来の「自然の姿」の魅力が見直されています。「日本書紀」の中には、素戔嗚尊(すさのおのみこと)がひげを抜いて散らすと杉になり、眉の毛はクスになったと記され、杉とクスは船の材料にと、用途まで示されています。船の材料にするには、節が多いと水漏れして用をなさない。天然杉が豊富な古代は、節の少ない大径木が近くの山からたやすく取れたのでしょう。杉の産地として名高い奈良県の吉野では、杉は古くから酒樽の材料として使われていました。余剰米が生まれ、酒造りが盛んになるにつれ、酒樽の需要が増え、木材の需要が増え、室町時代から吉野で人工植林が始まったと言われています。良い酒樽や醤油樽を造るには、年輪幅が狭く均一で、節の少ない杉がいいとされてきました。そのため横に大きく育たず上に伸びるよう密植され、枝打ちされ、間伐され、多くの人の手を入れてまっすぐで強い杉に育てられました。とはいえ杉の気持ちになってみれば、枝を思い切り伸ばそうとするのは自然の摂理であり、その結果、節が多くなるのは当たり前のことでしょう。いい加減に日本人は無節信仰を捨て、自然のままの杉を生かそうではありませんか。





...昭和の時代の漫画に、隣家の庭先で杉のたらいにつかって行水をしている人を、杉の板塀の節穴から覗くというシーンがありました。忍者が杉の天井の節穴から座敷を見下ろし聞き耳を立てるシーンも時代劇や漫画でお馴染みです。杉の節穴にまつわる逸話は数多くあります。杉の下見板に杉の板塀。ひと昔前には、どこでも目にした杉板の簡素なたたずまい。杉は庶民の暮らしに欠かせぬ材料として昔から親しまれてきました。この国で再び、人々が杉の板塀に囲まれて杉をふんだんに使った家で暮らすことができたら...










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