見直される空間「土間」
2025/08/19
土間については、これまでも何度か触れてきましたが、 雨楽な家の特徴の一つでもあり、近年さまざまな場面で注目を集めている空間でもあります。今回は、その土間の歴史や.現代における役割について考えてみたいと思います。 日本の住まいにおける土間の歴史は、とても古くまでさかのぼります。かつての農家や町家では、土間は屋外と室内をつなぐ大切な生活空間でした。農作業の道具を置いたり、薪を割ったり、時には近所の人との交流の場にもなったりと、暮らしの中心にあったのです。いわば、土間は日本人の生活文化を支えてきました。
しかし、高度経済成長期以降の住宅では、土間は「古いもの」「不便なもの」と見なされ、玄関ホールや廊下に取って代わられていきます。土足と生活空間を切り離すことが合理的とされ、次第にその姿は失われていきました。
ところが今、土間が再び見直されています。例えば自転車やベビーカーをそのまま置ける収納スペースとして、あるいはアウトドアの趣味を楽しむための半屋外空間として。さらには、リビングと一体につなげることで、暮らしに広がりと遊び心をもたらす空間として注目されているのです。
「雨楽な家」でも、この土間を現代の暮らしに合う形で積極的に取り入れています。昔ながらの土間の良さを残しつつ、断熱性能やデザイン性を工夫することで、単なる玄関ではない「暮らしの舞台」として再提案しているのです。
実際に、私たちが手がけた「雨楽な家」のお施主様からも、土間の活用について嬉しい声をいただきます。あるご家庭では、自転車やキャンプ道具をそのまま置ける収納兼ギャラリーのような空間として使われています。外で遊んだ子供たちが泥んこで帰ってきても、土間で靴を脱ぎ着しながらワイワイ楽しんでいるそうです。別のお宅では、薪ストーブと組み合わせて冬の団らんの場になったり、庭先で採れた野菜を一時的に置いておく便利な作業場になったり。まさに暮らしのアイデアしだいで、土間は「可能性に満ちた空間」になるのです。
...雨楽な家が大切にしているのは、こうした日本の暮らしの原点を、今のライフスタイルに合う形で再提案すること。土間はその象徴ともいえる空間です。効率や便利さだけでは得られない、心豊かな住まい方を、これからもお客様にお届けしていきたいと思っています。...