今注目の設計手法「パッシブデザイン」。「パッシブ」とは「受け身の」という意味であり、「アクチィブ」の対義語です。ここで言うアクチィブとは、エアコンをフル稼働させて、室内の温度上昇に対抗する「積極的にエネルギーを使う対策」などを意味します。その反対の「パッシブデザイン」では、太陽の光りや熱、風など「自然のエネルギー」をうまく活用することで、夏は涼しく、冬は温かく、１年中快適に過ごせるように設計されています。自然素材の長所を活かし、気候風土に合った日本の伝統的な家造りに、「機械や電気に頼りすぎることなく、爽やかに暮らしたい」そんな思いをプラスした「パッシブデザインの家」は現代の暮らしをより快適にしてくれます。土

日本の住宅様式「数寄屋造り」の特徴のひとつである「深い軒」は家の外観に豊かな表情をつくり、内部空間に深い陰翳と静謐(せいひつ)をもたらします。土間は昔の民家では、床を張らずに土足のまま調理や農作業できる場として、欠かせないものでした。

京都の町屋などに見られる、表口から裏口へ通り抜けられる長い土間「通り庭」では吹き抜けがよく用いられています。

パッシブデザインの家ではそれらを組み合わせて、南側に深い軒と大きな窓の吹き抜け、土間をつくります。深い軒は夏場の太陽の高度が高い強い陽射しを遮り、冬場の低い陽射しは室内まで届けます。土間のコンクリートは冬場は蓄熱材となり、昼間の陽射熱を溜め込みます。夏場は玄関からの風を冷やし、家の中に運んでくれます。そして、大きな窓の吹き抜けは屋内に入る陽射量を増やし、空気の循環器となって冬の暖かい空気、夏の涼しい風を家全体に運んでくれます。

...日本の伝統的な住宅様式を上手に取り入れることで、現代の住環境をより快適にすることがあできます...